組織改革とは?進め方と基本のフレームワーク・成功のポイントを解説

doda人事ジャーナル編集部
組織改革とは、組織構造や企業文化・制度、業務プロセスなどを根本から変える取り組みのことです。組織改革を効果的に進めるには、目的や適切な実施時期をしっかりと理解し、自社が行う理由を明確にすることが大切です。
本記事では、組織改革が企業にとって必要となるタイミングや、効果的なフレームワークなどを解説します。現状の組織体制に課題を感じている人事・採用担当者は、ぜひ最後までご覧ください。
組織改革を進めるうえでは、現場を動かすリーダーの育成も重要です。具体的な育成の考え方を整理したい方は、以下の資料も参考にしてみてください。
組織改革とは
組織改革とは、企業が既存の組織構造や業務プロセスを見直し、体制や仕組みを抜本的に再設計する取り組みのことを指します。
組織改革を実施するにあたっては、システムや戦略といったハード面だけでなく、文化や価値観といったソフト面にも目を向けることが大切です。これらを一体的に見直すことで、持続的に機能する組織基盤の構築につながります。
組織改革の目的
組織改革には、主に以下の3つの目的があります。
【組織改革の主な目的】
| 1.組織の文化や構造の改善 | ●従来の慣習に依存した文化や、硬直化した組織構造を見直し、柔軟な意思決定プロセスへと転換する ●従業員が主体的に関与できる環境を整えて、はたらきやすさの向上や離職率の低下、生産性の改善につなげる |
|---|---|
| 2.従業員のモチベーション向上 | ●組織全体で職場環境の改善に取り組み、従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上を図る ●従業員の成長を促進するとともに、創造性や発想力の発揮を後押しする |
| 3.業績の向上 | ●業務プロセスの適正化によって生み出されたリソースを、営業活動や商品開発といった付加価値の高い領域へ再配分し、業績の向上につなげる ●従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出す仕組みを構築することで、外部環境の変化に柔軟に対応できる体制を整える |
このように組織改革は、組織の文化・構造・人材を横断的に見直し、業績の向上を図るための重要な経営施策なのです。
組織改革が必要なタイミング
では、企業や組織はどのようなタイミングで組織改革を検討すれば良いのでしょうか。ここからは、その判断の目安となる主な場面を解説します。
【組織改革が必要なタイミング】
●外部環境が変化したとき
●社内人事が変化したとき
●新たな経営目標を立てたとき
●業績が低迷したとき
外部環境が変化したとき
企業を取り巻く外部環境の変化は、組織改革の実施が必要となる代表的なタイミングです。既存の組織体制では時代の変化に対応できないと感じた場合には、早急に改革の実施を検討する必要があります。
企業組織に大きな影響を与える変化としては、次のようなものが挙げられます。
●社会情勢の変化
●国際関係の変化
●市場の変化
●金利や税制の変化
●関連法令の改正
●SDGsの推進
●DXの推進
●働き方改革の推進
社会情勢や国の動きは企業の方針や戦略に大きな影響を与えるケースも少なくありません。また、特に現代の企業はDXをはじめとする急激な変化にさらされており、従来と比較して改革の必要性が高まる場面が多い傾向にあります。
IT技術の進歩などにより、既存のシステムやノウハウが通用しなくなってきたとき、リスクを最小限にとどめることが組織改革の役割でもあるのです。
社内人事が変化したとき
外部環境の変化に対応できている企業であっても、業績の悪化やコンプライアンスの問題などが起こったときには、社内の人事に目を向ける必要があります。
また、逆ピラミッド型の年齢構成を持つ企業では、主要な年齢層の人材が退職してしまうタイミングを事前に想定して、大幅な雇用調整や組織再編などを行う場合もあるでしょう。
このように、組織体制の立て直しを図るときには、どうしても全体に与える影響が大きくなります。特に大規模な人員削減や人事の異動を行う際には、残された従業員にネガティブな影響が生まれることを防ぐ必要があるのです。
そこで、同時に組織改革を行い、新たな体制で再出発が切れるように土台から整え直すことも一つの方法です。
新たな経営目標を立てたとき
新たな経営計画を立てたり、新規事業を立ち上げたりしたときには、必要に応じて従業員のマインドセットを改めることが大切です。また、実務では専門知識やスキル、ノウハウなどを身に付けさせるために、数年単位の中長期的な計画を立てなければならないケースも少なくありません。
このときには、組織内に不安要素が発生したり、従業員間に意識のギャップが生まれたりすることを避けるために、根本から組織改革を行うほうが効果的な場合もあります。
業績が低迷したとき
業績が低迷しているときも、組織改革の着手を検討するタイミングの一つといえます。なぜなら売上や利益が伸び悩むということは、市場環境の変化だけでなく、現行の業務の進め方や組織運営に何らかの課題が存在している可能性があるためです。
業績の低迷を機に組織改革を行う目的は、無駄の削減や生産性の向上を図ることにあります。こうした取り組みによって生み出されたリソースを適切に再配分し、収益性の改善につなげることで、組織全体の立て直しが期待できます。
組織改革で目指す理想の組織像
組織改革の目的と重要性を理解する上では、理想の組織像を明確にしておく必要があります。以下の項目では、どのような組織が理想形とされているのか見ていきましょう。
●共通の目的を持っている
●主体的な貢献意欲を持っている
●コミュニケーションが充実している
●評価・配置・育成が連動している
共通の目的を持っている
組織として優れたパフォーマンスを発揮するためには、前提として全体で共通の目的を持っていることが重要です。そして、各従業員が組織目的の達成に向けた課題を自覚し、主体的に行動できる状態が理想形とされています。
組織として共通の目的を持っていれば、従業員も共通認識を持って業務に当たれるため、チームワークや生産性の向上が期待できます。また、全体の目的から自身の個別目標も逆算できるため、仕事への意欲も高められるのです。
主体的な貢献意欲を持っている
理想的な組織像の2つ目のポイントは、各従業員が組織に対して主体的な貢献意欲を持っている状態であることです。企業や部門が設定する目的は、いずれも1人の力では達成できないものです。
そのため、組織の目的を明確化するとともに、お互いが協力して達成するという意識を醸成する必要があります。組織の目的の達成という観点で、それぞれが自身の役割や目標を考察し、積極的に相互協力できる風土をつくることが大切です。
コミュニケーションが充実している
組織の目的を達成するためには、組織内でのコミュニケーションが円滑に行われていることが前提となります。そのためには、雑談のような日常的な会話だけでなく、成功事例や問題点を速やかに共有できる状態を整える必要があります。
個人や現場での体験によって得られた情報やコツは、貴重で有益なものが多いにもかかわらず、感覚的な性質が強いため、言葉での共有が難しいことも確かです。しかし、業務の属人化を防ぐには、こうした個人の知識・情報も組織として蓄積していかなければなりません。
そのためには、企業が主体となってコミュニケーションの仕組みを整える必要があるのです。また、失敗例もスムーズに共有できるように、組織内にはフラットで風通しの良い関係性を築いていくことも大切です。
心理的安全性について詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。
(参考:『心理的安全性とは|組織を活性化させるポイントを解説』)
評価・配置・育成が連動している
人事施策に一貫性がある状態も、組織改革で目指す組織像の一つに挙げられます。
組織改革を進める上では、理念や方針を従業員に共有するだけでなく、「成果・行動に対する評価」「適性に応じた配置」「人材の育成」を連動させることが重要です。
求める行動や役割が評価基準にきちんと反映されていれば、適性に応じた配置や管理職の育成につなげられるでしょう。
こうした一体的な仕組みにより、現場と戦略の整合を取ることで組織改革の浸透が促進されます。
評価・配置・育成の見直しと関係するジョブ型雇用について詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。
(参考:『ジョブ型雇用とは|制度のメリット・デメリットや導入事例を解説』)
組織改革のスムーズな進行に役立つフレームワーク
組織改革をスムーズに進めるには、全体像を整理できるフレームワークの活用が有効です。本項では、以下のフレームワークを一つずつ解説します。
【組織改革のスムーズな進行に役立つフレームワーク】
●マッキンゼーの7S
●レヴィンの3段階モデル
●コッターの8段階プロセス
マッキンゼーの7S
マッキンゼーの7Sとは、アメリカの大手コンサルティング会社である『マッキンゼー・アンド・カンパニー』が提唱したフレームワークです。
同フレームワークでは、組織改革に必要な要素をさらに「ハード面の3S」と「ソフト面の4S」に分類しています。これらの7つの要素をバランス良く整えることで、組織の改革を効果的に進められるとされています。
【マッキンゼーの7S】
| ハード面の3S | Structure(組織構造) | ●組織づくりや階層の仕組み、指揮命令系統などを指す要素 ●組織の生産性や機動力を示す概念であり、「機能的であるか」「権限が明確化されているか」などが問われる |
|---|---|---|
| Strategy(戦略) | ●事業の方向性や経営戦略のこと ●組織が持つ独自の強みや競争優位性を明確化し、行動方針やリソースの配分などを決めることも含まれる |
|
| System(システム) | ●企業の制度や規定、情報管理の仕組みなどのこと ●「決められた仕組みが正しく稼働するか」「効率的に設計されているか」が重要な観点となる |
|
| ソフト面の4S | Staff(人材) | ●「人材をどのように配置するか」「従業員が持つ経験やスキルをどのように活かしていくか」といった観点のこと ●人事制度や人材開発の取り組みなども含まれる |
| Skill(スキル) | ●組織が持つ競争優位性のこと ●営業力やマーケティング力、技術力といった部門ごとの能力、または経営の中心人物に備わったスキルを指す |
|
| Style(スタイル) | ●組織の文化や社風のこと ●「変化を望む柔軟性を持つのか」「伝統を重んじるのか」など、組織全体としての方向性に関わる |
|
| Shared value(共通の価値観) | ●理念や方針などの組織全体で共有された価値観を指す |
マッキンゼーの7Sでは、まず現状分析を行い、自社の課題を整理した上で改善案を検討、最後に全体のバランスを確認する、という流れで見直しを進めていくことが一般的です。
詳しくは、後述の「組織改革の進め方と手順」で解説しているので、そちらも併せてご覧ください。
レヴィンの3段階モデル
レヴィンの3段階モデルは、クルト・レヴィンという心理学者が提唱したフレームワークです。組織改革を成功させるには、「既存の方法や価値観を壊し(解凍)、変化させ(変革)、新たな方法や価値観を構築する(再凍結)プロセスが重要」ということを主張したものです。
【レヴィンの3段階モデル】
| 1.Unfreezing(解凍) | ●既存の方法や価値観を見直し、改革の必要性を浸透させる段階 ●従業員に改革の意義を理解してもらうとともに、変化に向けた意識付けを行う |
|---|---|
| 2.Changing(変革) | ●新たな方法や価値観を取り入れて、組織に変化をもたらす段階 ●教育や制度整備を通じて、組織全体を新しい方向へ導く |
| 3.Refreezing(再凍結) | ●導入した方法や価値観を定着させて、安定的な運用へと移行する段階 ●文化や慣行を再構築し、改革を持続可能なものにする |
レヴィンの3段階モデルは組織改革の本質をシンプルに整理したフレームワークであり、その明快さから、現在も多くの企業や組織で活用されています。
コッターの8段階プロセス
ハーバード大学ビジネススクールの名誉教授、ジョン・P・コッターが提唱するフレームワークが、コッターの8段階プロセスです。
以下の8つのプロセスを順に実施すれば、形だけの改革にとどまらず、本質的な組織改革進めるための考え方とされています。
【コッターの8段階プロセス】
| 1.危機意識を高める | 「売上や利益の低下」「特権的な制度や待遇」など、組織の危機を可視化することで、従業員の関心と当事者意識を高める |
|---|---|
| 2.改革推進チームを結成する | リーダーシップや高い実行力を備えた人材を中心に、改革推進チームを結成する |
| 3.ビジョンを決める | 組織の将来像を明確化し、実現に向けた戦略を策定する |
| 4.従業員にビジョンを共有する | 企業や組織内でビジョンを共有し、従業員一人ひとりが「取り組む価値がある」と納得できる状態をつくる |
| 5.ビジョンの実現に向けて従業員をサポートする | ビジョンの実現を阻む要因を取り除き、従業員が行動しやすい環境を整える |
| 6.短期的成果を実現する | 短期間で明確な成果を創出し、貢献した従業員には適切な評価や報酬を与える |
| 7.さらなる改革を推進する | 短期的な成果で勢いを付け、組織の改革を加速させる |
| 8.改革を定着させる | 社内広報の活用や改革推進者の昇格などを通じて、改革を持続可能なものにする |
コッターの8段階プロセスを活用する際は、効果的な組織改革とするために各段階の内容を、順を追って実行していくことが大切です。
組織改革の進め方と手順
組織改革を成功に導くには、適切な手順を理解し、計画的に実行していくことが重要です。
本項では、改革を円滑に進めるための手順を解説します。
【組織改革の進め方と手順】
1.体制と役割分担を決める
2.現状を分析して課題を抽出する
3.ビジョンや戦略を立案する
4.目標と優先順位を設定する
5.従業員にビジョンや戦略、目標を周知する
6.施策を実行して浸透度を確認する
7.効果測定と改善を定期的に行う
8.組織の文化として定着させる
1.体制と役割分担を決める
組織改革を実施するにあたってまず行う取り組みは、適切な運用体制を設計し、役割分担を明確にしておくことです。体制や役割があいまいなままでは、新たな業務プロセスを導入しても、時間の経過とともにこれまでのやり方へと逆戻りしてしまう恐れがあります。
こうした事態を防ぐには、改革後の業務プロセスの成功パターンを組織内で共有し、再現性を持って展開していくことが求められます。
2.現状を分析して課題を抽出する
次に、従業員へのアンケートやヒアリング、業務フローの可視化などを通じて、組織内に潜む課題を明らかにしましょう。
現状を分析する際は、売上やKPIなどの定量データと、顧客の声や現場の気付きといった定性情報を組み合わせることをお勧めします。そうすることで表面的な問題だけでなく、根本的な要因も把握できるようになるため、改革方針の基盤を適切に整えられます。
組織課題の把握に役立つエンゲージメントサーベイについて詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。
(参考:『エンゲージメントサーベイとは?目的や質問項目、実施方法を解説』)
3.ビジョンや戦略を立案する
課題を明確化したあとは、組織が目指すビジョンと、それを実現するための戦略を策定します。
これらの策定にあたっては、経営陣や改革推進チームだけでなく、可能な限り多くの従業員の意見を反映させることが大切です。従業員の主体的な参画を促すことで、組織改革に対する当事者意識の醸成が可能となり、実行段階での協力を得やすくなります。
4.目標と優先順位を設定する
ビジョンと戦略の立案後は、「組織としてどのような状態を目指すのか」を具体的に定義しましょう。
設定する目標は、ビジョンや戦略の内容を落とし込むことが重要です。その上で、取り組む項目の優先順位を明確にし、数値で把握できる指標を示せば、従業員は主体的に目標達成に取り組めます。
5.従業員にビジョンや戦略、目標を周知する
ビジョンや戦略、目標の策定が完了したら、その内容を全従業員へ周知します。文書での周知だけでなく、経営陣による説明会の実施や社内SNSの活用など、さまざまな手段を組み合わせて発信しましょう。
加えて質問や意見を積極的に受け付け、双方向のコミュニケーションを図ることで、従業員の理解が深まり、施策の実行力向上につながります。
6.施策を実行して浸透度を確認する
ビジョンや戦略、目標を従業員へ周知した後は、いよいよ改革施策の実行に移ります。
この段階では、改革が立ち上がり間もないため、小さな成功体験を積み重ねながら段階的に施策を展開することが求められます。改革の進行に伴い、現場に負荷がかかる場合もあるため、従業員への丁寧な説明と適切なサポートを行いましょう。
併せて、施策が組織内でどの程度浸透しているかを確認することも欠かせません。従業員の行動の変化を観察し、必要に応じて軌道修正すれば、改革の実効性を高められます。
施策の浸透度を把握する方法について詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。
(参考:『パルスサーベイとは?目的や質問項目、具体的な手順を解説』)
7.効果測定と改善を定期的に行う
組織改革は、立案した施策を実行して終わりではありません。実行後、定期的に効果測定と改善を行うことも重要なステップの一つです。
目標の達成状況や従業員からのフィードバック、業務プロセス上の変化などを総合的に確認し、当初の計画と照合しながら振り返りを行ってください。もしも期待した成果が得られていない場合には、原因を特定し、必要に応じて改善策を迅速に実施することが求められます。
8.組織の文化として定着させる
組織改革の最終段階では、時間をかけて新たな行動様式や価値観を組織の文化として定着させることを目指します。
具体的には、人事評価制度や報酬制度に新しい価値観を反映させたり、成功事例を定期的に共有したりすると良いでしょう。また、新入社員向けの教育プログラムに改革の理念を組み込めば、長期的な視点で組織全体の文化として根付かせることができます。
組織改革で得られるメリット
本項では、組織改革を行うことで得られるメリットを解説します。
【組織改革で得られるメリット】
●生産性向上と業務効率化につながる
●従業員満足度の向上が期待できる
●意思決定のスピードと部門連携が改善する
●変化に強い組織基盤を構築できる
生産性向上と業務効率化につながる
組織改革に成功すれば、日常業務の効率化が期待できます。従業員間で目的やビジョンがきちんと共有されるため、情報の行き違いや工程の無駄が省略され、全体としてより合理的に成果を上げられるようになるのです。
さらに、部門間での非効率的なやりとりや手待ちも少なくなり、業務の垣根を越えた連携を図りやすくなる点もメリットです。また、組織改革には時代に合わなくなってしまった体制やシステムを廃止し、IT技術を活かした効率的な組織運営に変えるといった側面もあります。
不要な連絡や会議を減らし、目的の達成に直結した業務にリソースを集中させられるため、同じ人員・労働時間であっても成果の大幅な向上が期待できます。
従業員満足度の向上が期待できる
組織改革は組織全体だけでなく、同時に個人の従業員にも多くのメリットをもたらします。共通の目的意識が生まれ、コミュニケーションも円滑化することで、従業員自身が仕事への意欲を高められるのです。
例えば、企業が持つ社会的な意義を深く共有し、日常の業務にまでしっかりと落とし込めれば、従業員は自身の仕事に対して誇りを持ちやすくなります。また、公正かつ公平な人事評価制度を設けられれば、従業員それぞれが自身の評価に納得し、前向きに経験やスキルを磨けるようになるでしょう。
そして、もう一つのメリットが、柔軟なワーク・ライフ・バランスの実現です。組織改革によって無駄をなくし、生産性を向上させれば、企業にも多様なはたらき方に対応できる余裕が生まれます。
(参考:『従業員満足度(ES)とは?要素と向上するメリットと施策を解説』)
意思決定のスピードと部門連携が改善する
意思決定の迅速化と、部門間の連携の強化を図れる点も、組織改革で得られるメリットの一つに挙げられます。
組織改革によって、組織内の情報フローが明確になれば、必要な情報を適切なタイミングで共有できます。その結果、意思決定のプロセスが効率化されて、経営判断や現場対応のスピードの向上が期待できるというわけです。
さらに部門間での協力体制が整うことで、複雑な案件やプロジェクトでも、関係部署が連携して課題を解決できるようになります。
変化に強い組織基盤を構築できる
組織改革の実施は、環境の変化に柔軟に対応できる組織基盤の構築にもつながります。市場の変化や技術革新、はたらき方の多様化といった外部環境に適応する能力は、企業の競争力の維持に不可欠です。
組織改革によって変化に対応しやすい文化や価値観を醸成すれば、組織全体の柔軟性が高まり、新たな課題や機会に迅速に対応できる体制を整えられます。
組織改革でよくある失敗の原因

組織改革は企業や組織の成長に不可欠な取り組みですが、進め方を誤ると期待した成果を得られない場合があります。本項では、組織改革でよくみられる失敗の原因を解説します。
【組織改革でよくある失敗の原因】
●従業員との意識ギャップが反発を生みやすい
●管理職のリーダーシップ不足で現場浸透が進まない
●ビジョンや目的があいまいで施策だけが先行する
●浸透・情報共有不足で制度や文化として定着しない
従業員との意識ギャップが反発を生みやすい
組織改革では、経営陣・改革推進チームと現場との間に意識のギャップが生じることが、失敗の大きな要因となります。
組織構造や業務プロセスの見直しに伴い、新たな業務を追加したり既存のツールを変更したりすると、現場には少なからず負担がかかります。そのため、改革の必要性や意図が十分に理解されていない場合、従業員に抵抗感や不安が生まれやすくなるのです。
このような心理的な抵抗は、蓄積すると改革の推進に支障を来す可能性があります。
管理職のリーダーシップ不足で現場浸透が進まない
各部門を担う管理職のリーダーシップ不足も、組織改革が失敗する原因の一つに挙げられます。
管理職が改革の必要性や意図を正しく理解していないと、主体的に現場をリードしていくことができず、従業員の納得感を得られないまま施策が頓挫する可能性があります。こうした状況になると、現場レベルでの意識変革が進まずに、組織改革そのものが停滞しかねません。
(参考:『リーダー育成の4つの課題と具体的な方法・成功のポイントを解説』)
ビジョンや目的があいまいで施策だけが先行する
組織改革のビジョンや目的が明確に定義されていない場合は、取り組み全体の方向性が定まらず、現場に混乱を招く恐れがあります。
また、具体的な業務プロセスや戦略が不十分なまま改革を進めると、進捗(しんちょく)の把握や成果の評価が困難となり、組織改革の効果が得られないリスクも高まります。
浸透・情報共有不足で制度や文化として定着しない
組織内での浸透・情報共有不足により、制度や文化として根付かないことも、組織改革が失敗する原因の一つです。
組織改革の最終段階では、時間をかけて、新たな行動様式や価値観を組織の文化として定着させることが不可欠です。人事評価制度や報酬制度に新しい価値観を反映させたり、成功事例を定期的に共有したりして、制度と文化の定着を促進しましょう。
改革の背景や目的、進行状況などが適切に伝達されていない場合、従業員の間に抵抗感や不信感が生じ、取り組みの推進に支障を来す可能性があります。
組織改革を成功させるポイント

組織改革を成功させる上では、いくつか意識しておきたいポイントがあります。ここでは、特に重要な項目を分けて見ていきましょう。
【組織改革を成功させるポイント】
●共感性の高いビジョンを打ち出す
●推進者が承認される評価制度を整える
●管理職との連携を密にする
●短期的な目標も重視する
●経営陣の本気度を示す
共感性の高いビジョンを打ち出す
組織改革を行う上では、「何のため」という目的を明確にすることが大切です。まずは企業が目指す将来の姿を定義し、具体的なビジョンにまとめましょう。
その上で、改革をスムーズに推進していくためには、ビジョンが従業員の共感を得られる内容であるかどうかを慎重に検討する必要があります。組織改革は規模の大きな取り組みになるため、従業員個人からすれば、自身の日常的な業務がどのような変化につながるのかをイメージしづらい部分があります。
そのため、組織改革に取り組むことで「どのような対価を得られるのか」「どのように社会とのつながりが変わっていくのか」などを個人のレベルまで落とし込んでいく工夫が重要です。
推進者が承認される評価制度を整える
シンプルな方法ではありますが、改革の推進に対して積極的に取り組んだメンバーを前向きに評価する仕組みをつくることも効果的です。
必要に応じて人事評価のシステムや報酬体系も見直し、推進者が承認される仕組みを整備すると、従業員も自発的に動きやすくなります。
(参考:『人事評価制度とは?導入の5つのステップと注意点を解説』)
管理職との連携を密にする
組織改革は全社的なプロジェクトになるため、部署をまとめる管理職の存在が重要な役割を担います。なぜなら、経営陣の考えをくみ取りやすい立場であるとともに、改革による現場からの反発を真っ先に受けやすい存在でもあるためです。
そのため、管理職には改革プロジェクトマネジャーとして一定の権限を与えた上で、必要に応じて人事面での保護や助言を行えるサポート体制を整えましょう。また、改革に着手する前に、管理職を対象にしたリーダーシップ研修や育成を行うことも大切です。
組織改革を現場に浸透させるには、管理職や次世代リーダーが共通の視点を持ち、日々のマネジメントに落とし込むことが欠かせません。リーダー育成のフレーム設計やスキル要件の整理に活用できる資料を用意していますので、自社施策の検討にあわせてダウンロードしてご活用ください。
(参考:『人材育成マネジメントとは?必要なスキルや効果的な手法、導入事例も解説』)
短期的な目標も重視する
組織改革の効果が表れるまでには、ある程度の長期的な期間が必要です。特にソフト面の効果は、場合によって10年以上先の未来になってしまうケースも少なくありません。
しかし、目に見える効果がみられなければ、現場や関係者の理解を得ることが難しい点も確かな事実です。そのため、一定の効果が実感できるように、短期的な成果にも注目して進捗(しんちょく)を共有することが大切です。
前向きな変化が生まれていることを実感できれば、組織改革に対して積極的な姿勢を持つメンバーも増えていくでしょう。
(参考:『MBO(目標管理)とは?メリットや導入手順をシートを交えて解説』)
経営陣の本気度を示す
組織改革を成功させるには、経営陣が真剣に取り組む姿勢を従業員に示す必要があります。
経営陣が率先して改革に向き合い、その本気度が現場に伝わることで、従業員は安心して変化に対応できます。
組織改革に関するよくある質問
ここでは、組織改革に関する疑問にお答えします。
【組織改革に関するよくある質問】
●組織改革と組織開発・組織変革の違いは何ですか?
●組織改革は何から始めれば良いですか?
●組織改革にはどのくらいの時間がかかりますか?
●抵抗感を抱く従業員にはどのように対応すれば良いですか?
組織改革と組織開発・組織変革の違いは何ですか?
組織改革とは、既存の組織構造や業務プロセスを見直し、組織全体の最適化を図る取り組みのことです。
一方、組織開発は「人材」にフォーカスを当て、組織ではたらく人と人との関係性を高めることで、組織を活性化させる取り組みを指します。
また、組織変革は、外部環境の変化や競争の激化に対応するために、組織の目的や価値観、体制などを再構築する施策を指すものです。
(参考:『組織開発とは?効果的に実行するためのフローと活用したい7つのフレームワーク』)
組織改革は何から始めれば良いですか?
組織改革を始めるには、まず適切な運用体制を設計し、推進に関わる役割や責任範囲を明確にすることが重要です。体制を整備しておくことで、時間の経過とともに、これまでのやり方へと逆戻りしてしまうリスクを抑制できます。
その上で、現状分析を通じて課題を可視化し、ビジョンと戦略を策定しましょう。経営陣が主体となって改革の目的や方針を発信し、現場との認識を擦り合わせることで、組織全体が同じ方向を向いて改革を推進できるようになります。
組織改革にはどのくらいの時間がかかりますか?
組織改革は、効果が表れるまでに1~3年程度、場合によっては10年以上かかるといわれています。その間、目に見える成果が表れなければ、従業員もいずれ離反してしまうかもしれません。
従業員のモチベーションを維持しながら長期的な改革を着実に進めるには、まずは、短期的な目標を設定し、達成ごとに社内で共有することが大切です。
抵抗感を抱く従業員にはどのように対応すれば良いですか?
抵抗感や不安を抱く従業員には、まずその声に耳を傾け、意見を聞いたあとに組織改革の背景や目的を丁寧に説明することが重要です。なぜならこうした感情的な反応は、背景や目的が十分に伝わっていないことによって生じる場合があるためです。
「なぜ組織を変えるのか」という理由や改革後のメリットを明確化し、双方向のコミュニケーションを促せば、理解と納得感を高められるでしょう。また、必要に応じて教育・支援の機会を設け、従業員が変化に順応できる環境を整備することも効果的です。
抵抗は単なる障壁ではなく、改善点を示すフィードバックとして捉えることで、組織改革の推進に役立てられます。
まとめ
組織改革とは、組織の体制や仕組みを抜本的に再設計する取り組みです。改革を成功させるには、現状分析やビジョンの策定、施策の実行など、一貫したプロセスを計画的に実施することが不可欠です。
マッキンゼーの7Sやレヴィンの3段階モデル、コッターの8段階プロセスなどのフレームワークを活用し、改革の全体像を整理しながらバランス良く進めましょう。また、従業員の理解の浸透や管理職の育成も考慮し、長期的な視点で取り組むことが何より大切です。
組織改革とあわせて押さえたい人的資本経営について詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。
(参考:『人的資本経営とは?開示すべき情報や実現の手順・ポイントを解説』)
人的資本経営を実現するうえでは、人材の育成や適切な配置といった人事施策の具体化が不可欠です。
採用後の定着や活躍に課題がある場合、現場のマネジメント力やリーダー層の育成状況を見直すことが有効です。本記事で整理した内容をもとに、自社に必要なリーダー像や育成要件を具体化したい方は、フレームワークやスキルマップをまとめた資料をダウンロードしてご活用ください。
(制作協力/株式会社eclore、編集/doda人事ジャーナル編集部)
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