ソーシャルリクルーティングとは?メリットや進め方を解説


d’s JOURNAL編集部
人材の採用競争が激化している昨今、従来とは異なる採用手法として、ソーシャルリクルーティングが注目されています。ソーシャルリクルーティングは複数のメリットが得られるため、採用活動を効率よく進めるで取り入れたいところです。
そこで本記事では、ソーシャルリクルーティングの概要を、活用するメリット・デメリットとともにお伝えします。新たな採用手法を模索している人事・採用担当者は、参考にしてください。
ソーシャルリクルーティングとは?
ソーシャルリクルーティングとは、SNSを活用し、転職希望者に直接アプローチする採用手法のことです。SNSが普及し始めた2010年ごろから行われるようになり、現在は多くの企業で活用されています。その理由は、採用活動の中でさまざまなメリットを得られるためです。
ソーシャルリクルーティングのメリットについては後述しますので、引き続きご覧ください。
ダイレクト・ソーシングとの違い
ダイレクト・ソーシングは、手段や媒体にかかわらず、転職希望者に直接アプローチする採用手法です。つまり、ダイレクト・ソーシングの中でもSNSを用いた採用手法のことをソーシャルリクルーティングと呼びます。
ソーシャルリクルーティングのメリット
前項では、ソーシャルリクルーティングの概要をお伝えしましたが、ここからは導入に際して得られる5つのメリットについて解説します。
メリット①求める人材と出会える可能性がある
ソーシャルリクルーティングであれば、SNSのプロフィールや投稿から転職希望者の人柄を読み取りやすいため、自社の求める人材を見つけられる可能性が高まります。
転職希望者の人柄を、履歴書・職務経歴書や面接時の質問のみで判断するのは難しいでしょう。しかしSNSを活用することで、普段の投稿から、転職希望者の趣味や考え方などを推測できます。そのため、SNSで得られる幅広い情報も踏まえた上で人材を判断したいのであれば、ソーシャルリクルーティングを取り入れるのがおすすめです。
メリット②採用のミスマッチを減らせる可能性がある
ソーシャルリクルーティングを行うと、企業と転職希望者が、SNSのコメント欄やメッセージ機能を通じて直接的かつ気軽にコミュニケーションを取れます。このような方法で、入社前から双方の理解を深められるため、認識の相違が生じにくくなり、採用のミスマッチを防ぐ効果が期待できるでしょう。
(参考:『ミスマッチとは?新卒・ミスマッチが起こる原因は?企業に与える影響と対応方法を紹介』)
メリット③幅広い層にアプローチできる
不特定多数の転職希望者に向けて、自社を広くアピールできることも、ソーシャルリクルーティングを行うメリットの一つです。
SNSには、転職潜在層も含め、幅広い層の転職希望者がアクセスできます。興味を引く投稿であれば、数多くの方に拡散してもらえるため、応募の数も増えるでしょう。その結果、採用につながる可能性も高まります。
メリット④費用の削減につながる
ソーシャルリクルーティングは、求人サイトや人材紹介サービス、あるいは求人広告よりも費用を抑えられます。
無料で利用可能なSNSで求人情報を公開した場合は、掲載料はかかりません。SNSの運用にかかる費用を考慮しても、ほかの求人広告に比べ、費用の削減が可能となるでしょう。また、このように、導入に際して費用面でのハードルが低く、気軽に活用できる点もメリットです。
(参考:『採用コストの平均相場は?コスト削減の施策や計算方法を解説』)
メリット⑤自社の魅力を自由に発信できる
投稿内容の自由度が高く、堅苦しさを感じさせないかたちで自社の魅力を伝えられることも、ソーシャルリクルーティングの利点です。
求人サイトや求人広告などの場合は、情報を掲載するフォーマットが定められているケースが多いため、記載する内容が限定的となる可能性があります。しかしSNSであれば、写真や動画、あるいはブログ記事などを用いた自由な表現方法で、企業文化や社内の雰囲気を転職希望者に届けられます。
ソーシャルリクルーティングのデメリット
さまざまな恩恵を受けられるソーシャルリクルーティングですが、メリットだけではなくデメリットも存在します。本項では、懸念点となり得る4つの項目を紹介します。
デメリット①更新するための労力がかかる
ソーシャルリクルーティングを活用する際は、最新の情報を定期的に発信していく必要があります。これは、更新が少なく情報が古い状態では、転職希望者の興味が薄れ、アカウントの信頼性が低くなるためです。
しかし、SNSの更新には、素材の用意や投稿文の準備などの作業が不可欠です。ソーシャルリクルーティングで効果を生み出すには、このような労力がかかることも把握しておきましょう。
デメリット②情報漏えいや炎上のリスクがある
SNSを運用するにあたって、情報漏えいや炎上のリスクは無視できない問題です。
自由に投稿できるツールではあるものの、軽率に取り扱ってしまうと、転職希望者の熱意の低下や企業のイメージダウンにつながる恐れもあります。例えば、企業のアカウントにもかかわらず個人の意見を不用意に発言して炎上すると、企業の信用が失われ、応募が集まらなくなってしまうでしょう。このような事態を招かないために、管理体制の整備が必要です。
(参考:『【弁護士監修】炎上してからでは遅い!採用でSNSを使う際の注意点』)
デメリット③効果が出るまで時間がかかる
ソーシャルリクルーティングを始めたからといって、すぐに応募につながるとは限りません。時間をかけて継続的に情報を発信して認知度を高め、転職希望者との距離を縮めることによって、初めて効果が表れます。そのため、運用開始後、すぐに成果が上がらなかったとしても、一定期間は投稿を続けるのが望ましいといえます。
デメリット④専門的な知識が必要になる
採用を目的としてSNSを利用する際は、成果につなげられるような専門的なノウハウも必要です。自社に十分な知識がない場合、SNSの運用には多くの時間と労力が必要になる点はデメリットといえます。
ソーシャルリクルーティングを始める際は、SNSを活用するためのノウハウを学ぶ手間を考慮しつつ、準備を進めるとよいでしょう。
ソーシャルリクルーティングの進め方
ここまでで解説したソーシャルリクルーティングの概要を踏まえた上で、具体的な進め方も確認しておきましょう。詳しい手順を以下で解説しますので、参考にしてください。
採用目標を設定する
ソーシャルリクルーティングの道筋を明確にするために、まず採用目標を設定します。採用目標とは、採用人数や期間、そして予算などを具体化したものです。ここから逆算し、その目標を達成するために必要なフォロワー数や、エンゲージメント率などの数値を割り出します。
採用目標は、いわば施策を考案する際の基準です。施策の実施後は、採用目標と照らし合わせることで、数値での効果測定も可能となります。次のステップをスムーズに進めるためにも、時間をかけて考えることが肝要です。
求める人材像を決める
採用目標の決定後は、ソーシャルリクルーティングを通じて採用する人材のイメージを固めることも欠かせません。これにより、SNSの選定や投稿内容の方向性が定まります。
求める人材像は、できる限り細かい項目まで設定することがポイントです。年齢や性別、あるいは趣味などを細部までイメージした上で、自社が必要とする人物の価値観や行動特性を明確化します。こうして自社の求める人材像を明らかにしておくことで、社内での認識の不一致が起こりにくくなります。SNSの運用担当者が変更となった場合でも、効果的なソーシャルリクルーティングを続けられるでしょう。
(参考:『採用ペルソナとは?設定ノウハウや手順・具体例をまとめて紹介【テンプレート付】』)
SNSを選定する
ソーシャルリクルーティングでは、自社が求める人材像に基づいて、運用するSNSを吟味する必要があります。
近年はさまざまなSNSが登場しており、種類によって特徴が異なります。したがって、求める人材像を明確化した後は、その人材が好むと思われるSNSを選択することが肝心です。
なお、ソーシャルリクルーティングでよく用いられるSNSの種類と特徴は、本記事の後半で詳しく紹介します。SNSを選定する際は、こちらもぜひ参考にしてください。
運用ルールを定める
SNSを運用する前に、更新頻度や禁止事項などをルール化しておくことも重要です。特に、投稿内容を複数人でチェックできる体制を整えておくことが重要です。
前述の通り、ソーシャルリクルーティングを行う際は、情報漏えいや炎上のリスクが伴います。そのため、専門的な知識を持った担当者が、投稿内容の事実を確認できる、あるいは社会通念的な観点から精査できる環境の構築が不可欠です。無理なく運用するために、投稿内容の確認に必要な時間を考慮して、更新頻度を決めることが望ましいでしょう。
アカウントの運用を始める
ソーシャルリクルーティングの基盤を整えた後は、SNSの運用を始めます。投稿内容は、転職希望者が企業を選ぶ際の参考となるような内容がよいでしょう。例えば、実際の業務内容や従業員が働いている姿、あるいは普段の職場の雰囲気などが伝わるものがおすすめです。
選考や採用につなげる
SNSの運用を開始し、転職希望者から投稿への反応やコンタクトがあった場合は、積極的に選考や採用につなげます。具体的には、問い合わせに迅速に返信する、あるいは会社説明会の案内を発行するなどの方法で、アプローチします。
なお、SNSを運用する際は、一定期間後に効果測定をして投稿内容を見直すことも大切です。投稿に対する転職希望者の反応数や閲覧数を分析し、転職希望者に適したコンテンツを作成すれば、さらなる成果が期待できます。
ソーシャルリクルーティングを成功させるポイント
ソーシャルリクルーティングの一連の流れをつかめたところで、続いては、成功に導くための5つのポイントを紹介します。
ポイント①求める人材像が利用しているSNSを選ぶ
SNSの種類によって、主な利用者の年代や目的は異なります。そのため、ソーシャルリクルーティングで成果を上げるには、これらを考慮した上で運用するSNSを選ぶ必要があります。求める人材像の設定方法は前述した通りですが、中でも年齢層の設定は重要なポイントです。
中途採用では、新卒採用と異なり、採用の対象となる年代が幅広くなります。従って、年齢層を設定しないまま漠然とSNSを選んだ場合、期待した効果が得られない可能性があります。人材に求めるスキルを明確にし、そこから年齢層を逆算した上で、SNSを選んでください。
主なSNSの特徴
SNS | 主な利用年代 | 特徴 |
---|---|---|
X(旧Twitter) | 10~30代 | ・気軽に投稿できる ・タイムラインに投稿が埋もれやすく、更新頻度を高くする必要がある |
10~30代 | ・写真や動画を必ず添付する必要があり、ビジュアルを重視した投稿が必要 ・投稿に統一感を持せることが大切 |
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TikTok | 10~20代 | ・3分以内の短い動画が主流で、Z世代の若年層が多く利用 ・検索結果や「いいね」に基づいて動画が表示され、注目を集めやすい |
30~40代 | ・実名登録が基本で、学歴や職歴など詳細ないることが多い ・Facebookビジネスページで求人情報を公開できる |
(参考:総務省『情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査』)
ポイント②転職希望者のニーズに応えられる情報を発信する
転職希望者が知りたい項目にフォーカスし、「詳しく内容を見たい」と思ってもらえるようなコンテンツを投稿することも意識しましょう。求める人材の価値観や行動特性から、転職の際に重視する項目を推測し、その点をSNSで伝えていくのが望ましいといえます。
また、投稿時の自社のスタンスも固めておく必要があります。これが統一されていないと、投稿ごとに口調や雰囲気が変わってしまうためです。結果として、訴求内容に一貫性がなくなり、一度興味を持たれてもすぐに離脱される恐れがある点に注意が必要です。このような事態を招かないように、方向性を確立した上で、確認を怠らないことが大切です。
ポイント③投稿へのアクションをこまめにチェックする
投稿をこまめに確認してリアクションすることで、転職希望者とのコミュニケーションを始めるきっかけになります。
SNSの特徴は、利用者同士が交流しやすく、投稿に対して気軽に反応できる機能が多く備わっていることです。そのため、直接的なコメントやメッセージがなくても、フォローや投稿へのスタンプといった方法で反応される可能性があります。このようなアクションがあった場合は、フォローを返す、あるいは反響を得られた投稿に関連した内容を発信するなど、素早い対応を心掛けましょう。
ポイント④ほかの採用手法も併用する
ソーシャルリクルーティングは、ほかの採用手法との併用が基本です。SNSの運用を始めたからといって、求人サイトや人材紹介サービス、あるいは求人広告の利用を止めてしまうのは、推奨できません。
先に述べたように、ソーシャルリクルーティングは、効果が出るまでに時間がかかる採用手法です。また、SNSの使い方によっては、一向に採用に至らない可能性も考えられます。そのためSNS自体は、あくまでも情報発信や転職希望者とのコミュニケーションの場として活用するのがよいでしょう。SNSで自社に興味を持ってくれた転職希望者には、求人情報を紹介し、エントリーを促すといった方法も一案です。
(参考:『採用手法一覧と各手法を解説|選び方のコツや最新のトレンドも紹介』、『【今の採用手法や予算は最適!?】よくある5つの課題をデータを基に解説(無料調査データ付)』)
ポイント⑤効果測定を行う
ソーシャルリクルーティングは、PDCAサイクルを回すことで改善が見込めます。具体的には、採用につながっているSNSや、採用に関する問い合わせが発生している投稿を分析する方法です。
SNSの中には、こうした効果測定に適した機能が備わっているものもあります。例えばInstagramでは、プロアカウントで運用すると、投稿のいいね数や表示数、保存数の確認が可能です。さらに、投稿を見ている人の年齢層や性別なども把握できます。
ソーシャルリクルーティングの効果をより引き出したいのであれば、このような測定機能を備えたSNSをご活用ください。
ソーシャルリクルーティングで活用するSNSの種類と特徴
ソーシャルリクルーティングの成果を上げるためには、求める人材に適したSNSを選ぶことが大切です。ここでは、ソーシャルリクルーティングに使われるSNSの主な種類と特徴を解説しますので、選定の際にぜひご活用ください。
X(旧Twitter)
Xは、10~30代の若年層の利用者が多く、気軽に投稿できるSNSです。そのため、ビジネスに寄った情報よりも、採用活動に関する本音や個性的な従業員の紹介といった、砕けた内容が好まれやすいといえます。企業のユニークな情報を発信し、拡散してもらえた場合は、転職希望者の目にも留まるでしょう。
一方で、Xはタイムラインに投稿が表示される時間が短いため、ほかの投稿の中に埋もれやすいことがデメリットです。更新頻度を高くしなければ、注目を集められないまま投稿が流れてしまいかねません。Xを利用してソーシャルリクルーティングを行う場合は、この点を理解しておく必要があります。
10代~30代の若年層の利用者が多いSNSとして、Instagramもあります。Instagramでは、投稿の際に写真や動画の添付が必ず求められるため、ビジュアルを重視した投稿が不可欠です。特に、ファッションや美容との相性が良く、こうした業界の採用活動では、高い効果が得られる可能性があります。
Instagramで転職希望者からのフォローを集めるには、投稿に統一感を持たせることが大切です。投稿された写真や動画に一貫性があれば、その雰囲気に魅力を感じた転職希望者からの反応が期待できます。そのため、求める人材がどのような世界観を好むのかを分析し、投稿に反映するのが望ましいでしょう。
TikTok
TikTokは、3分までのショート動画を投稿できるSNSです。1990年代半ばから2010年代前半に生まれた、10~20代のいわゆるZ世代を中心に、多くの若年層が利用しています。ソーシャルリクルーティングを目的とした場合は、従業員が簡単に企業の紹介をする、あるいは転職希望者の疑問に一問一答するといった動画の投稿がおすすめです。
TikTokの最大の特徴は、利用者の検索結果やいいねに基づいて、自動的に動画をピックアップして表示する機能が備わっていることです。利用者に拡散されなかったとしても、企業情報や転職に関する動画を転職希望者が多く検索していれば、この機能によって表示される可能性があります。
「ビジネスツールとしての印象が強いSNSを使いたい」とお考えであれば、Facebookをご検討ください。実名登録が基本とされているFacebookは、学歴や職歴などの情報を詳しく載せている30~40代の利用者が多く、人材のスキルや経験を確認しやすいのが特徴です。さらに、Facebookビジネスページで求人情報を公開する機能もあるため、ソーシャルリクルーティングとの親和性が高いといえるでしょう。
これらの特徴があるFacebookには、企業の正確な情報や転職に関するトピックの収集を目的とする利用者も存在します。そのため投稿時は、企業の実態を丁寧に伝えられる内容にすることが肝心です。
(参考:総務省『情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査』)
Linkedln
Linkedlnは、海外でも広く使われている、世界最大級のビジネス特化型SNSです。学歴や職歴、あるいは資格などを詳しく公開できるようになっており、海外企業では、そのプロフィールを履歴書・職務経歴書の代わりとしているケースも少なくありません。こうした理由から、グローバルに活躍できる人材が見つかりやすいといえます。
また、Linkedlnの企業のプロフィールページには、求人情報を掲載可能です。採用要件に合う転職希望者を探し、スカウトメールを送れる機能も備わっているため、採用活動の負担が軽減されるでしょう。
LINE
メッセージツールとして有名なLINEも、SNSの一種です。LINE公式アカウントを作成することで、LINE上で「友だち」に登録した方に向けて、採用活動に関するさまざまな情報を配信できます。
また、LINEの個別チャットで、企業への問い合わせや面接の日程調整、あるいは採用決定後のフォローなども行えます。このように転職希望者と定期的にコンタクトを取ることで、距離を縮めやすくなるでしょう。
一方で、拡散力が劣るという懸念点もあります。そのため、不特定多数の転職希望者からの注目を集める際はほかのSNSを使い、転職希望者との個別のやりとりが必要になったフェーズでLINEを活用することを推奨します。
YouTube
幅広い年代の方が利用している動画投稿サービスのYouTubeは、ソーシャルリクルーティングでも活用されています。これは、企業のチャンネルを作成し、会社概要や社内の雰囲気などを紹介する動画を投稿できるためです。
またYouTubeは、動画の生配信も行えます。例えば、遠方のため会社説明会に参加できない転職希望者に対して、現地の様子を配信するといった使い方が可能です。チャットにより、リアルタイムでコミュニケーションが取れるため、現地での参加とほぼ変わらない質疑応答が実施できるでしょう。
ソーシャルリクルーティングの実例
SNSを利用して採用活動を進める際は、他社の成功事例を参考にするのもおすすめです。ここからは、ソーシャルリクルーティングを取り入れた3社の実例を紹介します。
株式会社Smart相談室
オンラインカウンセリングサービスを提供する株式会社Smart相談室では、従業員のXでの投稿が注目を浴び、応募が集まるようになりました。選考フローの中で同社のアカウントを知り、ファンとなる方も多く、Xを通じて転職希望者の入社意欲を高めることに成功しています。このようなXの使い方によって、中途採用での入社承諾率は、当時100%をキープしているそうです。
同社では、従業員自身の「自然体で思いをつづる」という姿勢を大事にしており、あえて目標とするフォロワー数やエンゲージメント率を細かく設定していません。これは、数字を追いかけるあまり、炎上しかねない投稿をしてしまうリスクを避けることが目的です。さらに、X上での社名が含まれる投稿は、従業員によるものも含め幅広くチェックできる体制を整えており、問題がある投稿を見逃さないような対策が取られています。
SNSの運用にあたり、リスク対策に不安を抱えている場合は、このような事例を参考にしてはいかがでしょうか。
(参考:『「社員タレント化」によるX運用で母集団形成→入社承諾率100%!予算・専門人材なしでも始められる“自然体のSNS活用術”』)
株式会社ベーシック
株式会社ベーシックは、Webマーケティングツール「ferret One」や、フォーム作成管理ツール「formrun」などを提供している企業です。同社は、プロダクトの知名度は高いものの、社名が転職希望者に認知されていないことが課題でした。そこで情報の拡散性が高いXに注目し、従業員が社名を出しつつユニークな投稿をするようになったところ、社名の認知度が上がり、応募も増加しました。
Xを用いたソーシャルリクルーティングを実施する中で、同社が重視していることは、負担なく継続できるような仕組みづくりです。採用目標は明確にしつつも、内容や更新頻度に細かい制限は設けず、従業員に投稿を強要しないように心がけています。こうした仕組みによって、従業員の自由な投稿が続けられており、企業の個性も発信できています。
本事例を参考にソーシャルリクルーティングを実践すれば、SNS上で企業の特色をアピールすることもかなうでしょう。
(参考:『採用広報の決定版。社員のフォロワー数は合算6万人、内定承諾率と離職率を大幅改善するSNS活用法』)
株式会社ミラティブ
ゲーム配信プラットフォームの開発や企画、さらにライブゲーミング事業などを手がける株式会社ミラティブは、「共感性」にフォーカスした採用活動を実践しています。その過程で、読み手の感情を揺さぶるような採用資料を目指した「採用候補者様への手紙」をSNS上で公開した結果、大きな反響がありました。このような採用活動や企業文化に魅力を感じる転職希望者が多く集まり、採用要件に適した人材の採用につながっています。
同社が作成した「採用候補者様への手紙」は、2019年2月にX(当時Twitter)やFacebookで拡散されて話題となった、44ページにわたる会社説明資料です。簡潔に企業情報を伝えるだけではなく、人の温かみも感じられるような資料を目指し、従業員の考え方やポエムなどの要素も盛り込まれています。こうした感情に訴えかける方法が、SNSとの親和性が高かったため、内容に共感した多くの方の手によって拡散されるに至ったのでしょう。
自社の採用活動方針や会社説明資料へのこだわりが、SNSとの相性が良い場合は、本事例のような使い方をするのも一案です。
(参考:『SNSで「採用候補者様への手紙」を公開した企業が目指す、理想の組織と採用のあり方-株式会社ミラティブ』)
ソーシャルリクルーティングの活用は企業にメリットをもたらす
今回は、ソーシャルリクルーティングの概要を、活用するメリット・デメリットとともに解説しました。
SNSを利用した新しい採用手法である、ソーシャルリクルーティングは、企業の知名度の向上や採用コストの削減といった効果が期待できます。適切な手順で活用すれば、企業の採用活動を円滑に進められるようになるでしょう。導入する際は、本記事で紹介したポイントを押さえた上で、実践することが大切です。
(制作協力/株式会社eclore、編集/d’s JOURNAL編集部)