【その認識、間違っているかも…】採用活動を始める前にアップデートしたい転職市場のこと

d’s JOURNAL編集部
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転職求人倍率は上昇傾向、転職希望者の平均応募者数は32社。転職理由は給与・待遇のほか、人間関係に起因するものが上位に
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在宅勤務や副業など、働き方の価値観が5年で変化。転職成功者の年代はミドル層が増加
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トレンドはすぐに移り変わるため、転職希望者の志向性を理解したら求人票やスカウトメールに即反映
採用難度が高まり続ける転職市場。転職希望者の働き方に関する価値観や職場に求める環境など、志向性の変化も著しい状況です。
常時採用を行わない企業の場合、最新の転職市場の状況を把握する機会があまりなく、いざ採用活動を始めるときに過去に行った採用手法で取り組むも、「思ったより応募が集まらない」「入社承諾前に辞退された」といった「市況感を把握できていないからこそのズレ」が発生してしまうことも少なくありません。
採用を頻繁に行わない企業の人事・採用担当者がこれから採用活動を始めるときには何を把握することが大切なのか。この記事では、採用を成功させるために必要な、最新の転職市場の状況や転職希望者のニーズの把握とともに、採用活動を始める際に取り入れたいポイントをご紹介します。
過去と比較!転職求人倍率と転職理由の変化
2022~2025年で比較。転職求人倍率の変化
dodaが毎月レポートを出している「転職求人倍率レポート」。2025年2月の最新の転職求人倍率は2.46倍となっています。直近3年間を遡ると、2022年5月は1.85倍、2023年5月は2.20倍、2024年5月は2.57倍となっており、ここ3年間で転職求人倍率は上昇傾向にあることがうかがえます。
転職求人倍率が高まる中、転職希望者はどれくらいの企業に応募しているのでしょうか。2024年1月~12月にdodaを利用して転職をかなえた人のデータをご紹介します。
転職希望者が転職活動を始めてから入社受諾するまでに応募した求人の数の平均は32社でした。また、転職をかなえた人の95.0%が2社以上に応募しています。さらに、66.2%の人の応募社数は11社以上で、転職をかなえた人の多くが、求人応募を積極的に行っているという実態が明らかになっています。
転職希望者のホンネは!?転職理由ランキングからわかること

転職希望者が転職を検討する理由は何なのか。dodaは2023年7月~2024年6月の1年間に転職した人の転職理由を調査しています。転職理由1位は4年連続で「給与が低い・昇給が見込めない」。年代別に見ても、全ての年代で同項目が転職理由のトップとなっています。また、2位は「人間関係が悪い/うまくいかない」、3位は「社内の雰囲気が悪い」となっており、待遇面と合わせて人間関係に悩みを抱える転職希望者が多いことがうかがえます。
では、2020年7月~2021年6月の転職理由のランキングはどうだったのでしょうか。1位は前述の通り、「給与が低い・昇給が見込めない」で、2位は「昇進・キャリアアップが望めない」、3位は「会社の評価方法に不満があった」となっています。
給与面については時代に左右されず、転職を検討する重要な理由となっていることがわかります。その一方で、2021年ごろはキャリアアップに関する内容が上位に挙がっていたものの、最新の調査では人間関係に起因する転職理由が上位となっており、人事・採用担当者は転職希望者が社内の雰囲気を重視する傾向にあることを押さえておきたいところです。
「在宅勤務」「フルリモート」が検索上位。働き方の価値観の変化

転職求人倍率や転職理由を押さえた上で、転職希望者がどのような志向性を持っているのか、dodaのフリーワード検索の結果からご紹介します。
2020年5月、コロナ禍初期のフリーワード検索トップ5は、「50代」「英語」「中国語」「未経験歓迎」「未経験」。一方で、最新のフリーワード検索(2025年4月更新時点)トップ5を見てみると、「在宅勤務」「フルリモート」「工事」「建築士」「電気工事士」となっており、コロナ禍初期には見られなかった在宅勤務に関わるキーワードが多く検索されています。ちなみに、2020年5月の在宅勤務に関する検索結果は、「在宅勤務」が11位、「リモートワーク」が51位で、2025年には在宅勤務が当たり前の働き方として定着したことも見えてきました。
また、2020年5月から引き続き上位にランクインしているのが「未経験」「未経験歓迎」といったワードや、「英語」「中国語」といった言語に関するキーワード。さらに注目したいのが、2020年5月にはトップ100にも入っていなかった「副業」も、最新の結果では25位になっている点です。こうしたトレンドの変化から働き方の多様化が進んでいることも押さえておきたいポイントです。
35歳転職限界説は消滅!?転職成功者の年代別の割合

ここまで、転職市場の状況や転職希望者の志向性について見てきました。では、実際に転職をかなえた転職成功者の年代別の割合はどうなっているのでしょうか。dodaの調査によると、2024年の転職成功者の平均年齢は32.7歳で、女性平均は31.2歳、男性平均は33.6歳となっており、全体・男女別ともに2年連続で上昇しています。
注目したいのは、30代後半以上の転職成功者の状況です。2023年と比べると「30代後半(35~39歳)」と「40代以上(40歳以上)」の割合がアップし、特に「40代以上」は前回の14.9%から16.6%へと大きく割合を伸ばしました。この「40代以上」の2022年の結果は13.9%で、直近2年で2ポイントアップしており、継続的な上昇が見られます。人手不足の中で企業は即戦力となる人材を求めており、経験豊富なミドル層の採用ニーズが高まっていることが調査結果に反映されていることがわかりました。
出典:転職するなら年齢は何歳まで?転職成功者の平均年齢調査【最新版】年代別の転職活動のポイントは?
いまから採用活動を始める際に、押さえておきたいポイント
転職求人倍率の高まりや転職希望者の志向性の移り変わり、さらに転職をかなえる人の年代の変化など、いまの転職市場を把握した上で、これから採用活動に取り組む際に注力したいこととは──。人事・採用担当者が心がけたいポイントをご紹介します。
転職希望者の志向性を把握するために、フリーワード検索の結果を活用
働き方の価値観は、前述の通り2020年から現在の5年間でも大きく変化しています。doda調べでは、在宅勤務に関するフリーワード検索が増えていることがわかりました。
母集団形成に悩む企業が多く、特に中小企業では応募を集めるのが難しくなる中で、数少ない応募者とのミスマッチは極力避けたいところです。そのためには、転職希望者の志向性を把握することが重要になります。dodaのフリーワード検索のみならず、他社媒体なども含めて、転職希望者が何を求めているのか、最新の検索ランキングなどのチェックを常に行っておきましょう。
転職希望者の志向性をインプットしたら、求人票にすかさず反映
フリーワード検索や転職理由ランキングなど、転職希望者の志向性について把握した内容は、求人票やスカウトメールなどの内容にすかさず反映させることが次のステップとして大切です。転職希望者の価値観は常にアップデートされていくため、せっかく調査したことも、1年たてば古い価値観になる可能性もあります。転職希望者の志向性に応えるための、求人票作成時に押さえておきたいポイントを下記に記載します。

採用活動に取り組む前に、最新の情報をアップデート
これまであまり中途採用を行ってこなかった企業や、今後採用に取り組んでいく人事・採用担当者に向けて、採用活動に取り組む前に押さえておきたいことをご紹介しました。
企業にとって、採用難度が高い状況が続いています。応募者との貴重な出会いを採用につなげるためには、採用活動を始める前にさまざまな情報収集を行うことがミスマッチを起こさないためにも大切です。人事・採用担当者が認識している転職市場と、実際の転職市場に齟齬はないのか、ギャップがあるとすれば感覚をアップデートした上で、採用活動をスタートしてみてください。
企画・編集/髙橋享(d’s JOURNAL編集部)、文・編集/野村英之
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